まえがきにかえて 本作品はD9プロジェクトの一環として、ある朝はじめました。 この増大する物語は一部の方の支持を頂き、現在も続いています。 成長する物語をお楽しみ頂ければ幸いです。本文。
そんなある日の朝のことである。
いつものように海苔と味噌汁と25杯の飯を平らげた久太郎が
ゆっくりと腰をあげ、ぶらぶらと散歩にでかけようとすると、
みつが一通の手紙を持って走ってくる。
「久さん、こんなものが・・・」
裏を返すと差出の名はない。
脇先を抜き器用に封を切ると中には繊細な文字でこう印されていた。
「今日は仏滅です」
久太郎は暫し言葉を失った。これは一体何の冗談なのだろうか?
ふと、手紙から漂う芳香に気が付いた久太郎は、もしや、と思い、
手紙を火にかざしてみた。すると仏滅の文字の向こうにうっすらと
不動明王の絵が炙り出された。久太郎の顔から血が引いていった。
不思議そうに見つめるみつに向かって、久太郎はこう言った。